6月の演奏スケジュール

2014/05/27 at 10:37
14:06

6月のスケジュール(前月→
6(金) サムデイ(新橋)03-3536-1777
w/西村知恵(vo)高瀬龍一(tp)大山日出男(as)高瀬裕(b)安藤正則(ds)
7(土) そるとぴーなつ  (江古田)  03-3993-3400
Jam session host w/古西忠哲(b)公手徹太郎(ds)
12(木) Body&Soul  (青山)  03-5466-3348
Brazilian nite w/向井滋春(tb)城戸夕果(fl)中津裕子(b)守新治(ds)
14(土) ビーフラットメジャーセブン  (帯広)  0155-26-5540
Duo!w/豊田勇造(vo,g) Guest/佐々木源一(b) いいべやバンド
問・予約:090-9753-8209(うめつ)090-6216-1528(ねこまた屋)
20(金) 曼陀羅 2  (吉祥寺)  0422-42-1579
Duo!w/豊田勇造(vo,g)
21(土) カーター  (群馬県 館林市)  0276-74-4417 出前加須ライブin上州
Duo!w/豊田勇造(vo,g)
問・予約:090-5801-8484(増田)
22(日) MOJO  (所沢)  04-2923-3323
Duo!w/豊田勇造(vo,g) Guest/ストローハッツボーイズ
問・予約:090-3688-3467(トーシローズBar)
25(水) ハーバー・ライト  (国立)  042-577-5510
Duo!w/上西千波(vo)
26(木) ホットペッパー  (池袋)  03-3971-8669
w/入方宏子(vo)古西忠哲(b)
27(金) Lady Day (練馬春日町)03-3998-0660
w/続木Brothers+八月薫子(vo)
30(月) Sometime  (吉祥寺)  0422-21-6336
megasameta Quartet w/峰厚介(ts)古野光昭(b)安藤正則(ds)

展覧会の絵 その1

2014/05/20 at 01:42

展覧会の絵01「展覧会の絵」二題。その1は現実の展覧会に行って来たトピック。その2はロシアの作曲家、ムソルグスキーによるかの有名な作品。そして、番外「横尾忠則」

まずは、展覧会の絵 その1。

東京都現代美術館(MOT開催の「驚くべきリアル展」に行って来ました。私の職業は耳の世界に特化した仕事ですが、一方、目の世界の表現にも大変関心があって、美術館によく出かけます。今回の展覧会はスペイン及び、スペイン語圏作家の、現代リアリズム潮流にスポットを当て、それらの作品を紹介する趣向でした。 中には面白い作品も多少ありましたが、全体的には新しい発見には乏しい内容でした。しかし、見ていくうちに、「スペイン的なもの」が垣間見えてきて、それが一番の収穫でした。 近代、現代の表現には、どこかに伝統を破壊、ないしは、突き抜いていこうとするモメンタムが強いように思います。それは、誰もやった事のない何か、未だかつてなかった新しい何かを創造、創出したいという欲望に突き動かされる芸術家にとって、目の前に立ちはだかる、伝統の圧倒的重圧に、もはやそれを破壊して突破するしか自分の道はないと強迫観念を抱くからかも知れません。このスペイン語圏の作家達にもその破壊モメンタムが多分にありますが、あまりにもナイーヴ過ぎて新味がないのが玉に瑕。反面、その分、衝動としての破壊が、露骨な程ストレートに噴出していました。多くの作品に、それぞれ形は違うものの、扇情的で、暴力と血の匂いがして、どこかグロテスクなものがありました。同じく、スペイン近代の巨匠、ダリやガウディーの作品にもこの扇情性、あるいは官能的でグロテスクなものが、私には感じ取れます。もしかすると、これはスペインの血に色濃く流れる「スペイン的なもの」ではないかと‥‥‥‥。思えば、「闘牛の熱狂」にも通じ、納得がいった次第です。

展覧会の絵02この展覧会でいいなと思ったのは、個人的使用なら写真撮影が許されていた事。これは今まで初めて。早速、ご一緒したJazz Vocalist 、田村美沙さんをパチリ。美沙さん自身も音楽活動の傍ら、絵を精力的に描いていることもあり、一緒に美術館を巡る仲間なのです。

展覧会の絵03

展覧会の絵04時間があったので、この美術館の常設展「MOTコレクション」へ。この美術館の収蔵する4500余点の作品は日本の現代作家の作品が中心、時期ごとにテーマを設定、収蔵作品の中からテーマに沿った作品をチョイスして展示する趣向。何度も来ているので、以前見たことのある作品も。先程のスペイン語圏作家のものより、こっちの方が表現として手が込んで緻密な作品が多く見応えがあったので、内心、同じ日本人として少し誇らしい気持ちになりました。

中でも、横尾忠則の初期の作品は他の追随を許さない特異な世界観があり、ひときわ圧巻でした。

展覧会の絵 番外・横尾忠則その1→

5月の演奏スケジュール

2014/04/25 at 01:10

5月のスケジュール(前月→
1(木) P’s Bar  (池袋)  03-5391-3365
w/吉野ミユキ(as)矢野伸行(b)
4(日) 東京倶楽部目黒  (目黒)  03-6417-0166
w/清水秀子(vo)斎藤誠(b)
5(月) ルー スター  (荻窪)  03-5347-7369
w/向井滋春(tb)古野光昭(b)
7(水) サテンドール (六本木)03-3401-3080
w/いかわみきこ(vo)大地耀子(vo)Novie(vo)松丸美紀(vo)
堤智恵子(as)山下弘治(b)藤井学(ds)
11(日) P’s Bar  (池袋)  03-5391-3365
w/続木Brothers+辻邦博(g,vo)
15(木) パール・バー  (新宿)  03-3354-7577
w/池野弘美(vo)
17(土) Bar Bar Bar  (関内)  045-662-0493
w/MAYA(vo)松尾明(ds)高橋康廣(ts)新岡誠(b)
18(日)
14:00
セロニアス  (東中野)  03-3365-0572
Duo! w/上西千波(vo)
18(日)
Sometime  (吉祥寺)  0422-21-6336
西村知恵(vo)CD ” My ideal ” 発売記念LIVE
w/高瀬龍一(tp)大山日出男(as)高瀬裕(b)小山太郎(ds)
19(月) セロニアス  (東中野)  03-3365-0572
w/吉野ミユキ(as)矢野伸行(b)
20(火) Lady Day (練馬春日町)03-3998-0660
Duo! w/八月薫子(vo)
24(土) Blue Moon  (三鷹)  0422-47-1662
Jam host w/古西忠哲(b)
27(火) ファースト  (横浜日ノ出町)  045-251-2943
w/太田恵資(vi)+続木Brothers
29(木) Sometime  (吉祥寺)  0422-21-6336
megasameta Quartet w/山田穣(as)古野光昭(b)安藤正則(ds)

ア・エスピリトロンパ/三鷹台 スペイン料理

2014/04/04 at 15:24

A Espiritrompa桜の季節、お花見散歩をするのですが、今年は井の頭線三鷹台玉川上水~井の頭公園のコース。腹ごしらえのランチに寄ったのが、「ア・エスピリトロンパ」。日本でスペインの郷土料理というと、バスク料理が幅を利かせていますが、ここはガリシア地方の料理。ガリシアは大西洋に突き出た、スペインの西北端に位置します。海の幸は勿論、山の幸にも恵まれた豊かな風土だそうです。私はそれぞれの地方で愛される郷土料理が好き。人々の暮しを支える、滋味豊かで五臓六腑に染みわたる料理だからです。このお店の料理もスペイン料理らしく、オリーブ油、ガーリック、ハーブ類が口の中で弾けるのですが、今まで食べたどのスペイン料理よりも、バランスのよい落ち着き。野趣がありながら、きちんとレストラン料理として磨かれていました。ハウスのグラスワインもガリシア地ワイン。白は、ドライなのに、しっかり複雑な味と香り、いくらでも飲めそう。自家製パンは石釜で焼かれ、素朴ながら噛みしめるほどに味わいが広がります。モダン・シンプルなダイニングはいごごちよく、休日の午後、幸せなひとときでした。スペイン料理好きは、わざわざ足を運ぶ価値あり。

4月の演奏スケジュール

2014/03/27 at 15:43
flying_pianist

4月のスケジュール(前月→
2(水)
IZUMI  (六本木)  03-3408-4149
w/
マイク黒宮(vo)テリー橋本(vo)稲垣次郎(ts)風早龍也(b)バイソン片山(ds)
7(月)
Sometime  (吉祥寺)  0422-21-6336
megasameta Quartet/山口真文(ts,ss)古野光昭(b)安藤正則(ds)
8(火)
オルガンジャズ倶楽部  (沼袋)  03-3388-2040
w/続木Brotheres+辻邦博(g,vo)
9(水)
ケイ(赤坂)03-3586-5151
w/ケイ石田(vo)酒井麻生代(fl)磯辺ヒデキ(b)
11(金)
シュガーヒル  (草加)  048-927-7489
w/吉野ミユキ(as)矢野伸行(b)
13(日)

Sometime  (吉祥寺)  0422-21-6336
w/清水秀子(vo)直居隆雄(g)斉藤誠(b)関根英雄(ds)
急遽出演することになりました。
15(火)
Bar Bar Bar  (関内)  045-662-0493
w/向井滋春(tb)高木沙耶(sax)仲石裕介(b)藤井学(ds)
16(水)
サムデイ(新橋)03-3536-1777
w/高瀬龍一(tp)伊勢秀一郎(tp)古西忠哲(b) guest 河村英樹(ts)
17(木)
セロニアス  (東中野)  03-3365-0572
w/
続木Brotheres+辻邦博(g,vo)
19(土)
マンハッタン  (阿佐ヶ谷)  03-3336-7961
w/吉野ミユキ(as)矢野伸行(b)津山貴裕(ds)
24(木)
ウイスパー  (三軒茶屋)  03-5787-5794
Duo!w/渡辺明日香(vo)
25(金)
ケイ(赤坂)03-3586-5151
w/Shinnosuke(vo)おぬきのりこ(vo)竹内秀夫(b)

レコーディング w/西村知恵(vo)

2014/03/15 at 21:18

久々にジャズ・ヴォーカリストのレコーディングに参加しました。歌姫は西村知恵。西村さんは東京でほとんど活動していないこともあり、知る人ぞ知るですが、自然に心を込めて歌える底力のある歌手です。スタイルはエラばりのジャズ・ヴォーカル王道。伸びやかで艶のある声は大器を予感させます。何より、鹿児島の女性らしく、真っ直ぐで熱い人柄そのまま、存在感が歌ににじみ出ているのが素晴らしいです。

14:03レコーディングw:西村知恵(vo)

彼女を支えるのは、高瀬龍一(tp)大山日出男(as)高瀬裕(b)小山太郎(ds)の面々。メンバーそれぞれの個性が随所に光り、同時に、高瀬くん独特の浮遊感漂うアレンジが全体を貫き、一筋縄ではいかない、とてもユニークな作品となりました。

西村知恵(vo)のCD、 “My Ideal” は、4月26日にリリースされます。乞うご期待!

3月の演奏スケジュール

2014/02/24 at 15:39
14:03bowwow

3月のスケジュール(前月→
1(土) そるとぴーなつ  (江古田)  03-3993-3400
Jam. host w/山本裕之(b)公手徹太郎(ds) MC.: 1,500円
3(月) セロニアス  (東中野)  03-3365-0572
w/吉野ミユキ(as)矢野伸行(b)
4(火) Lady Day (練馬春日町)03-3998-0660
Duo w/八月薫子(vo)
7(金) Blue Moon  (三鷹)  0422-47-1662
Duo w/西村知恵(vo)
8(土) Blue Moon  (三鷹)  0422-47-1662
Jam. host w/古西忠哲(b) MC.: 2,800円/2drink付
11(火) Meg  (吉祥寺)  0422-21-1421
w/高橋康廣(ts)安東昇(b),松尾明(ds)
14(金) そるとぴーなつ  (江古田)  03-3993-3400
吉野ミユキ(as) Birthday live w/矢野伸行(b)正清泉(ds)
22(土) ウナ・マス   (三鷹)  0422-36-6252
w/辻邦博(g,vo)+続木Brothers
24(月) No Bird  (銀座)  03-6280-6006
w/松尾明(ds)山本玲子(vib)安東昇(b)
26(水) Bar Bar Bar  (関内)  045-662-0493
w/田村美沙(vo)佐々木悌二(b)高橋徹(ds)
27(木) ケイ(赤坂)03-3586-5151
w/あゆこ(vo)臼井優子(vo)磯部ヒデキ(b)
28(金) Lady Day (練馬春日町)03-3998-0660
w/続木Brothers+八月薫子(vo)
29(土) チャンドラ (山梨)  0551-38-2601
w/吉野ミユキ(as)若林美佐(b)
31(月) Sometime  (吉祥寺)  0422-21-6336
megasameta Quartet/向井滋春(tb)古野光昭(b)安藤正則(ds)

2月の演奏スケジュール

2014/01/25 at 15:34
14/02 jet piano

2月のスケジュール  (前月→)
1(土)
カモメ(関内)045-662-5357
Brazilian night w/向井滋春(tb)城戸ユカ(fl)佐藤慎一(b)守新治(ds)
6(木)
セロニアス  (東中野)  03-3365-0572
w/続木Brothers+辻邦博(g,vo)
7(金)
Ko-Ko  (渋谷)  03-3463-8226
w/大友義雄(as)桜井郁男(b)藤井学(ds)
10(月)
P’s Bar  (池袋)  03-5391-3365
w/吉野ミユキ(as)矢野伸行(b)
11(火・祝)
Sometime  (吉祥寺)  0422-21-6336
“Happy Valentine Special”
Soulful night w/H.H.C.B. / 
ウォーネル・ジョーンズ(vo,e-b)後藤輝夫(sax)
西山”HANK”史翁(g)コモブチ樹一郎(e-b)鶴谷智生(ds)
13(木)
ケイ(赤坂)03-3586-5151
w/池の本和美(vo)清水ちえ(vo)仲石裕介(b)
15(土)
マンハッタン  (阿佐ヶ谷)  03-3336-7961
w/吉野ミユキ(as)矢野伸行(b)正清泉(ds)
18(火)
ファースト  (横浜日ノ出町)  045-251-2943
w/太田恵資(vln)+続木Brothers
20(木)
P’s Bar  (池袋)  03-5391-3365
w/続木Brothers+辻邦博(g,vo)
22(土)
Nica’s  (町田)  042-729-8048
w/向井滋春(tb)山下弘治(b)海野俊輔(ds)
24(月)
ケイ(赤坂)03-3586-5151
Jam sesion host w/鈴木洋一(g)岩崎悠太(b) (MC 2,000円)
25(火)
16:30
北社会保障病院 1F ロビー  (赤羽) 03-5963-3311
w/高瀬龍一(tp)古西忠哲(b) (無料)
27(木)
よいどれ伯爵  (関内)  045-261-0272
w/渡辺明日香(vo)
28(金)
ケイ(赤坂)03-3586-5151
w/おぬきのりこ(vo)らいらかおる(vo)中村裕希(b)

アバド逝く

2014/01/22 at 13:35

アバド逝く指揮者クラウディオ・アバドが80年の生涯を閉じました。アバドは私が大きな影響を受けた音楽家の一人です。彼の音楽を聴くと、常に、音楽の持つ二面性、つまり主観面と客観面について考えさせられます。彼にはこの両面において特別に優れた洞察力があり、音楽それ自体に、自然に表現させることをとりわけ大切にした人だと思います。どんな曲も、スコアの隅々まで精緻で明晰。しかし、「情念」については大変慎重で、それが突出しないよう細心の注意を払っているように思われます。つまり、主観が突出することで客観性が損なわれる事を回避し、その代り、瑞々しい音楽的感興が立ち上がることをことのほか大切にしたように思います。(「情念」に慎重だったことは、彼への評価を二分する原因の一つだと思います。)

客観面において、彼のロンドン・シンフォニーとのラヴェルの録音はとりわけ勉強になりました。モーリス・ラヴェルの音楽は、詩的、内的な側面を大切にしたドビュッシーとは対比的に、むしろ、音楽の客観的、外的側面を重視し、もの凄くスタイリッシュな美学に抜かれています。(構造の作りは印象派というより、古典的でさえあります。)ラヴェルの美意識に対するアバドのずば抜けた洞察力が光り、見事にラヴェル世界を瑞々しく立ち上げています。個人的には、アバド以上にラヴェルと相性のいい指揮者はおらず、恐らく、アバドの演奏を天国のラヴェル本人が聴いて、舌を巻いてるんじゃないかと思う程です。

例えば、ラヴェル後期の作品「ラ・ヴァルス」の録音。この曲の内包する「狂気」、「危なさ」を見通し、それをアバド以上に緻密に表現し切った演奏に出会った事がありません。しかも、表面上は優雅でスタイリッシュ。この曲は冒頭から不穏な空気があるのですが、曲が進むにつれ、危なさがたちこめ、だんだん音楽の端々がねじが緩むように狂い始めます。やがて収拾がつかなくなり、狂おしく熱をおび、最後は狂気の沙汰。その頂点であっという間に曲が終わります。聴き手は「ええっ?」と唖然とさせられます。アバド表現の素晴らしいところは、その狂っていく様が「官能的」であること。彼の血がイタリア人であることと、官能的であることとは無縁ではないと思います。

「官能的」という事に関しても、私はアバドの演奏から大きな影響を受けました。私は、この世界で最も官能的な音楽を書いた作曲家は、アルバン・ベルクだと思っています。死への意識と隣り合わせのような音楽で、前出の「ラ・ヴァルス」よりもっと危ない感覚を呼び起こされますが、同時にこの上なく美しく、ベルクの凄まじい美意識に抜かれています。特に最晩年の作品には死への指向が濃く、「ルル」は「冥府への沈降」、ヴァイオリン協奏曲は「天上への昇華」と、とても対照的。アバドは、ベルクのオーケストラ作品集を若い頃ロンドン・シンフォニーと、歳をとってからウィーン・フィルと録音しており、同じ曲が多数重なっているので、聴き比べると大変興味深いです。若い方はベルクの難解で超複雑なスコアを、透かし彫りを見るように精緻明晰な演奏。歳をとってからの方は、心の奥深く、ほの暗い心理の襞に分け入っていくような、怖い感覚があって、ぞっとするような官能の美があります。 私はチキンシャック時代の最後期、ベルクの音楽に惹かれ、夢中で、朝から晩まで様々な演奏家によるベルク作品を聴きあさっていた時期がありました。一番心に迫り、何度も繰り返し聴いたのは、アバドのウィーン・フィルとの録音でした。前出のヴァイオリン協奏曲は、アバドのはLive録音しかなく、この出来がもひとつなのが残念です。(ムターとウィーン・フィルとの演奏を遺して欲しかった。)

話は変わりますが、ジャズの世界で官能的であることを意識しているミュージシャンはあまり多くないように思います。ウエィン・ショーターとハービー・ハンコックは数少ないその二人。例えば「ネフェルティティ」という曲を聴くと、とても官能的なものを感じます。個人的には、この二人はベルクの音楽を聴き込んだ時期があったに違いない?と勝手に想像しています。実は、私がショーターのこの時代の曲を好んで演奏するのは、私なりの「官能性」へのチャレンジでもあるのです。

私は、1800年代の終りから1900年代初め、いわゆる「近代」に惹かれるところがあり、もしタイムマシンがあったら行ってみたいのが、ベルクのいたウィーンとラヴェルのいたパリ。方や、バッハ時代からの古典的な伝統が最後の絢爛なあだ花を咲かせるウィーン。方や、全ての制約から自由を得、軽やかに未知の領域に飛翔するパリ。ロゴスと客観、形式を重んじ、理想を希求する古典的世界観の有終の美と、感覚と主観、心象を重んじ、自由を希求する近代の幕開けがこの二つの都市に集約、象徴されています。私が惹かれるのは、このどちらにもホントにぶっ飛んだところがあるからです。この時代のパリとウィーンにはとんでもないものが溢れていて、まさに晴天の霹靂オンパレード。その事に目を開かせてくれた上、それらの感覚、気風、香りに私を誘ってくれた一人が、アバドでした。

アバドの演奏や人柄は、自分をこれ見よがしに前面に出さないこともあり、一見「ユニーク」だとか、「個性的」の部類に入るようには見えません。しかし、同時に今まで存在する指揮者のどんなカテゴリーに分類することも難しく、一般には賛否、好き嫌いが、分かれるようです。 私にの目には、ワンアンドオンリー、稀代の知性、感性の持ち主に思えます。アバドの演奏を聴いて、驚きとともに「音楽って、こんなことも表現できるんだ。」と、気付かされることの多かったこと!

人間は常に未熟です。そして無知のなかで生きています。私は自分で可能な限り、音楽や文化、そして人間という存在について考えてきたという自負があります。ーーークラウディオ・アバド
 
一度もお会いしたことがないのですが、アバドさんには感謝の気持ちいっぱい。ご冥福をお祈りします。

フアン・ペン/チェンマイ

2014/01/15 at 18:39

huen phen1二泊三日のチェンマイ滞在中に、夜とお昼、2度も食べに行ったのが「フアン・ペン」。北部タイ料理のお店で、バンコクのココナツミルクを使った濃厚な味付けとは違い、シャープですっきりした印象です。山の幸が中心ですが、野菜もたっぷり。チェンマイで食べたベストのお店で、個人的にはすごく口に合いました。お昼は地元の人達もおしかける「美味しい地元食堂」。建物の通りに面したところでいただきます。夜は建物の右端、門のある入口から石畳を進むと、奥まったところに、夜のみ使われるレストランが現われます。内装も民族色豊かでムーディー。メニュー内容も宮廷料理等、「ハレ」の料理に変わります。けれど、そんなに高くはなく、コスト・パーフォーマンス抜群。お昼と夜で顔の変わるお店で、面白い! そしてどちらもホントに美味。
huen phen6

Huen Phen / フアンペン/ร้านอาหารเฮือนเพ็ญ
112 Ratchamankha Road
(昼)AM 8:30〜15:00 Tel : 053-814-548
(夜)PM 17:00〜22:00 Tel : 053-277-103