タイ旅行その2~悠久のスコータイ

2013/09/03 at 16:33

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世界中どこへ行っても、観光スポットほとんどは、寺院や歴史的な建造物です。私の実家は世界有数の観光地、京都。世界中から人が来てどこへ行くかと言うと、お寺や神社です。タイでも、ガイドブックで紹介される観光スポットはお寺。(タイ語で「ワット~~~」)バンコクでは、やっぱり巨大な涅槃仏(横臥した仏像)で有名な「ワット・ポー」へ行ってきました。Wat Pho日本の寺院や仏像は金箔や彩色が落ちても、渋いまま元に戻さない方が多いようです。(金閣寺や、平安神宮は例外?)それはお茶の「侘び寂び」の影響でしょうか?いずれにしろ、風景や自然に溶け込んだ佇まいは、日本人の気風に合っているように思います。それに比べ、タイの寺院のカラフルなこと!そして金ピカでエキゾティックな面持ちの仏像。日本人の私にはちょっとそれが「安っぽく」感じられました。

実は今回のタイ旅行でどうしても行きたかったのはスコータイ。同じ仏教寺院でも、スコータイのは、13世紀頃の仏教遺跡群。遺跡としては、バンコクからも近いアユタヤが有名ですが、スコータイはアユタヤより観光地としてはおっとりしたもので、アクセスもあまり良くありません。平日に行ったのですが、観光客も少なく閑散としていました。それがかえって良かったと思います。スコータイ歴史公園から一番近い宿をとり、午前中に到着したので、早速宿の自転車で出掛けました。歴史公園の城壁内有料区域は広い敷地に沢山の遺跡群があり、公園として整備保存されていました。広いのですが、自転車で走り回り、お昼すぎには有料区域の遺跡全部を周り切ることが出来ました。Skhothai 01

昼食後、区域の外に点在する遺跡に行ってみることにしました。この辺りは、少し街から離れると、豊かな森が広がる、たおやかな自然に包まれています。地図を頼りに自転車を走らせると、風景の中にとけ込むように佇む遺跡は、時を超えて目の前に現れてきたかのようで、驚きを伴った新鮮さがありました。Wat Sri Chum2一番のお気に入りは、ター・パー・デーン堂。スコータイで一番古い遺跡で、13世紀の仏教寺院建立以前の、12世紀のヒンドゥー教の祠。仏教遺跡は様式美があり、大変洗練されているのですが、こちらはもっとプリミティヴ。ゴロンとした存在感が何かユーモラスでした。San Ta Pa Daen

よく整備保存された有料区域に比べ、外の遺跡は、まだ修復が進まず、少し荒れていて、文字通り「遺跡」の佇まいがありました。他の観光客とも全く会わず、遺跡の中にぽつんと私達だけ。おかげで「夢のあと」の寂寥感を、そこはかとなく味わえました。その昔、王朝の都として栄華を極めたに違いありません。その興亡とともに、壮大な人間ドラマが繰り広げられたことでしょう。しかし。今は静けさの中、夏草に覆われ、朽ちた建物の形骸が残るのみ。正に諸行無常。実はこの「諸行無常」という言葉は、重要な教えを内包した仏教用語です。バンコクのピカピカのお寺でははなく、崩れかけたお寺の残骸に囲まれ、諸行無常を実感するとは、逆説的ですね。想いを巡らせながら上を見上げると、ゆったりと流れるポワンとした雲と、突き抜けるような青空が広がっていました。地上では一つの文明が華咲き、やがて滅び去っても、何にも動じず、変わらず全てを包み込む大空に、その時、悠久の時の流れを感じました。

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