雪の中、白隠に会う

2013/02/07 at 11:51

hakuin01  白隠展@東急Bunkamura を見てきました。天候が悪かったので入場者が少なく、ゆっくり観れたのは何よりでした。 私事で恐縮ですが、10代に読んだ「臨済録」が蘇ってきました。分別を切り裂く一刀両断の気合い、心そのものを吹き飛ばす明晰、一期一会にほとばしる悟境の一閃。スリリングな臨済禅の一端に強烈な衝撃を受け、その後の私の人生に多大な影響を与えた一冊です。同じ強烈さが白隠の書画に溢れていました。まるで公案ように、こちらに投げつけてくる気迫は、白隠その人が「言えっ!」と迫り来るようで、観ている私もなかなか大変でした。荒唐無稽な考えですが、白隠の絵を何枚か家に掲げて、朝に夕にじっと対峙したいと思いました。そうしていると、ある時、本当にぎりぎりの肝要がわかりそうな、そんな絵達でした。

白隠の書画には存在の根底を揺さぶる力があり、表現としても作品としても並外れていることは一目瞭然ですが、画家、書家などによる「芸術作品」とは全く異質、一瞬に表現を突き抜け、目の前に白隠がこちらをじっと見つめています。正に彼はとんでもない人物でした。 白隠と一期一会。

いつか、白隠のようにピアノを弾くことができたら‥‥‥。